なんだか、この Nifty SERVE の会議室に変な情報が入ってんですよね。ん、「今夜 東京の街に人形使いが現れる」とか、「11 月 11 日東京深夜、何かが起こる」とか、

「私は人形使い。現在、東京の街に hacking している。この街は巨大なネットで覆 われてはいるが、まだ私が入り込む余地はいくらでもある。さて、君達にネットの中 に隠れたこの私を見つけることはできるかな? 今私は、電脳都市東京の新宿 city に存在している。私の目の前には、かつて噴水であった残像が存在している。君達の アクセスを心から待っている」

 あら、さっそく人形使いさんからのメッセージですよ。探して欲しいんだって。友達 がいないのかな。はははっー(笑)。なんかさぁー、私は本編見てるけど、なんか人形 使いって、本編と雰囲気違うよねぇ、ちょっとこれ。聞くところによると、人形使い はニッポン放送のソウグチアナウンサーに限りなく似ているらしい(笑)、という情報 が入っているんだが。でね、この人形使いを見つけると、他では手に入らない、攻殻 機動隊グッズ。これはねぇ、トレーディングカードとステッカーが必ずもらえちゃう らしいよ。頑張って見つけるんだ。それでねぇ最初の10人か15人くらいには、Tシャ ツもあがちゃう。すごい。がんばって見つけるんだ。
 なになに。新宿の街って云ってた? 噴水の残像が存在する場所? ……ってどこ だろうねぇ。あー、あそこじゃない? ほらあのなんか、映画館がいっぱい周りこう 囲んでるさぁ、所だよ。今日あたりなんか、ものすごい状況になってるんじゃないか なっていう(笑)、所だよね、きっと。
 うん。で、心当たりの人は、ぜひ、探してみて頂戴。

 なんかね、人形使いはほんとものすごいわっかりやすい格好してるそうだから、頑 張って見つけてよ。


「私は人形使い。私は今、電脳都市東京、新宿 city に存在している。私の目の前に は、かつて水を湛えていた場所を囲むように、たくさんの人々が集まる建物が建って いる。その広場にはギターを持った詩人たちが歌っている。そして私の目の前にはひ ときわ大きな建物が建っている。私は今、たくさんのネット、すなわち人々に紛れて そのひときわ大きな建物の向かいにある石段に座っている。私は人形使いである」
「もしもし? もしもーし」
「はい?」
「もしもし? 人形使いさんですか?」
「はいはい」
「あははー、人形使いさんだぁ。人形使いさん、今なに、新宿の大きな建物の前に居 るの?」
「人々が集まる建物が広場を囲んでいる。そのひときわ一番大きな建物の向かい。か つて噴水であった石段だった所に立っている」
「ねぇ、寒くない?」
「……寒い」
「はははははははぁ。寒いぃ。やっぱ寒いよねぇ。早く見つけて欲しいよねぇ」
「そんなにキーワードを知りたいのかね」
「あは、うんうん。教えて教えて」
「そのひときわ大きな建物に関するキーワードを、それでは教えてあげよう」
「うん」
「キーワードは『水前寺清子』特別公演『そうだ元気だチーターだ』」
「あっはっはっは。なるほど」
「あ、切れちゃったよ」

 なに今の(笑)。もうこれわかるよね。あそこだよあそこ。急ぐんだ。水前寺清子と きた(笑) そうか、人形使いはそこにいるんだ。みんな、早くそこへいって人形使い を捕まえるんだ。


 ん、また何か入ってきた。なんだなんだ。

「私は人形使いだ」
「あ、人形使いさんだ」
「私は新宿 city に居る。私は何重にも張り巡らされたパスワードを解いて、今一人 の少年が私のネットに現れた。私の場所がなぜわかったのかね。君の名前は」 「下朗丸岡です」
「丸岡君。じゃあ君にはTシャツとトレーディングカードと、ステッカーを−−なぜ 人形使いがプレゼントをするのかちょっとよくわからないが−−あげよう」
「丸岡君。私の格好を一言で云うとどんな格好してるかね」
「いや歌舞伎町だったら、そんな珍しい格好じゃないですけど」
「いや、君は場所いったから殺すぞ? 人形使いは怖いぞ」
「(笑)バレバレ」
「とりあえず、もう一人なんかスクータに乗ってやってきた方がいるので、お名前は」
「アロファといいます」
「ペンネームでふだんから喋っているという、まさに人形使いにふさわしい、アロファ さんに、Tシャツと1セットをさしあげましょうか」
「ねぇねぇ」
「はい、あのなんでしょう」
「人形使いさん、いきなり人間臭い(笑)。どこからきたの? その人」
「スクーターのアロファさん、どこから来たのかね」
「目黒区です」
「目黒区から」
「そうかぁ」
「一番最初の彼はどこから」
「え、目白台です」
「目白台から」
「目白台かぁ、けっこう遠いねぇ」
「じゃぁ最後に私がいる場所、もう一度ヒント出しときましょうか。映画館が囲んで いる広場、そしてひときわ大きな建物。その大きな建物に関するキーワードは、八代 亜紀特別公演『あなたにありがとう。そして今、遥なる歌の道へ』」
「ははははは、なんだよう。これ」

 キーワードを残してくれたんですけどね。なんか、よく聴いていたら、バレバレだ よね、どこだか。地名云ってたっていう。まぁ2人今、人形使いさんを見つけてTシャ ツもらってたみたいだけど、まだまだ、人形使いはそのへんに居ると思うんで、どん どんあつまってきてください、みんな。


「あら、またなんか入ってきましたね。人形使いさんかな」
「私は人形使いだ。私は電脳都市東京の新宿という街に存在している。私が張りめぐ らしたパスワードをくぐり抜けて、幾人もの人が訪れたが、ここでいま割烹着を着た おかあさん、着物姿のおかあさん二人連れが、なぜか私の前に現れた。とりあえずT シャツあげます。お名前は? 言えないのね。じゃあ割烹着のおかあさん」
「はい」
「どちらから来たんですか」
「えーと、歌舞伎町1丁目です」
「いや、そんな詳しくいったら、すごい私困るんですよ」
「ははははは」
「おかあさん着物着てらっしゃいますけど、なんなんですか、今」
「あのねぇ、飲み屋さん」
「あら、お名前は。お店の名前言っちゃまずいですか」
「ペガサス」
「ペガサスから。あ、名刺か何か」
「あ、あとで差し上げます」
「ぜひ下さい。人形使い、けっこういける口なんで」
「あ、お名前はだめなんですか」
「おかあさん、私の格好ですねぇ。ちょっと、どんな格好しているかというのを」
「そうですか。楽しい格好で、夢がありますね」
「楽しくて夢がある格好をしています。人形使い」
「あ、もう一人着ました。どんどんねぇ、人集まってますんで、なんか段々私、お昼 の番組のトークみたいですけれども。だんだん人形使いから普通の人になってますけ ど。まだまだ」
「なんかさぁ」
「はいはい」
「遠くでみたらさ、女の子みたいな男の子で、ペンギンかなんかをいっぱい付けて、 なんか変わってるな、なんて」
「すごく今、詳しく描写してくれました。今夜の私はぬいぐるみをいっぱいつけて、 歌舞伎町1丁目あたりにいるらしいですよ。みんな集まれー」
「ははは、自分で言ってる」
「あ、結構集まってきているみたいですねぇ」
「集まってきてますね、はい。まだまだ待ってまーす」
「寒いでしょうが、頑張ってくださーい。あ、いなくなっちゃいました」

なんか、おかあさんにつかまってましたねぇ。飲み屋のおかあさん。そうですか。 パソコン通信しているふきつなきつなさんは、「パソコン通信していると、人形使い さがしにいけない」っていってるんだけれど、どうすりゃいいって、どうすりゃ、い いんだろうねぇ。


 えーと、ここでまた、あ、ほらね待っていたかのように入ってきましたよ。

「人形使いさんですね。人形使いさーん」
「どもー! 人形使いでーす」
「なんだ。わぁびっくりしたぁ」
「みんな、せーの」
「わぁーーー」
「いえー、みんな元気に行け〜」
「すごい、ちょっとそこ、いったい何人くらいいるの?」
「いまからちょっと名前とか訊いていきますんで」
「藤沢市から来ました」
「名前は」
「石橋です」
「石橋君」
「埼玉から来ました」
「え、埼玉から来たの? どうやってきたんだよ、おめぇ」
「車で来ました」
「車で来たの。すごい。名前とかは」
「金山裕貴と雛形大好き寮です」
「埼玉から来ました。小林正和です」
「馬場から来た河辺です」
「遠いですよ、みんな。何考えてんでしょうかねぇ」
「というわけでした。新宿コマ前の人形使いでーす。みんないぇー! わーちぎれる から引っ張らないでくれー、やめろー、やめてくれ、ほら、ちょと、おい、助けて〜 。」
「ねぇ、人形使いさん」
「え? 何? はい」
「なんか相当キャラクター変わってない? 最初と」
「なにがでございますか?」
「へー?」
「え」
「ございますか、ときましたね」
「私はもう電脳世界を泳ぎ回る人形使いでございまーす、みたいな」
「ございまーす、だって。……すごいですねぇ」
「やもうねぇ、この中継やる前にも何人も来たんで、全部でもう20人以上」
「あ、ほんと、すごいじゃん」
「えぇ、もうこんな夜中に。来てていただきましたねぇ。ありがとうございますぅ」
「ありがとうございますぅ」
「えぇー」
「そうですか。そろそろ、あのー人形使いさんがもう逮捕寸前らしいんで」
「やもうねぇ、寒いんです」
「寒いのぉ」
「えぇ。結構ぬくぬくしたい気持ちなんです。人形使い的にいえば」
「じゃあその気持ちも汲み取りつつ、あのもーそろそろ消えて下さい」
「あれ、そんな、冷たい、みんな。でも今ぬいぐるみ引っ張られて、痛い感じです。 あやだやだ、やめろ、あ、助けてー、またきたよどんどん。」
「あ、どっかいっちゃいましたよ。あーぁ」

 なんかこういう終り方って寂しいねー。あんな格好良く登場したのに。結局何人ぐ らいにアクセスされたんだろうね。かなり来てたね。すごい、埼玉からも。あ、20人? あ、ほんと。すごいじゃない。まぁ無事に人形使いさんが人形使いのおうちに帰りつ くことを(笑)願いつつですねぇ、まぁ人形使い探しはここで終了ってことです。


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