next up previous contents
Next: NEP Up: 結果・考察 Previous: 結果・考察

CO2

3.1 に大気 CO2 濃度の履歴を示した。シミュレーション開始 後およそ 300 年間はやや大きな変動をみせたが、やがて変動幅は小さくなって いき、図のように約 2000 年後には平衡状態に達した。

陸上生物圏にある炭素量の初期値として、現在の値である 610(植物体) + 1580 (土壌有機物) PgC を用いると、平衡到達時の年平均大気 CO2 濃度は 302.64 ppmv を示し、年較差は 3.27 ppmv であり、また初期値として現在の半分で ある 305(植物体) + 790 (土壌有機物) を用いると、平衡到達時の年平均大気 CO2 濃度は 302.65 ppmv を示し、年較差は 3.27 ppmv であった。このことから、 初期陸上生物圏炭素量の違いは平衡到達時の CO2 濃度にはほとんど変化をもた らさないことがわかる。

大気 CO2 濃度の履歴の年変動パターンに目を転じると、「5 月に大きな 11 月に小さな極小」があり、「9 月に大きな 12 月に小さな極大」がある。この結 果は冒頭で述べた、地球全体の年変動パターンとは正反対であるように思われる。 この原因は、植物体の成長よりも土壌の分解の方が年変動幅が大きいために、大 気 CO2 濃度と植物体の成長の関係が見えなくなっているためと考えられる。

この問題に関しては、後述する。

図3.1a: 5KB GIF image
図3.1b: 7KB GIF image
図3.1: 大気 CO2 濃度の変動: 横軸は時間(単位[年])、縦軸の単位は ppmv。 a はシミュレーション開始後 2000 年間の変動を示しており、b は年変動を 見やすくするために最後の 5 年間を拡大して示した。


Yoshihiko OHTA
1998年1月21日